備忘録として臨床研究について学んだことを記します
今回はPECO/PICOにおけるOに影響を及ぼす
「第3の因子」の分類を解説します
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「第3の因子」の定義
例えば、ある観察研究において、とある要因(E)が存在する場合と存在しない場合(C)とで結果(O)が異なるかを検討するならば、Oの差がEとCによって説明できなければなりません。
つまり、EとCによる影響だけでなく、他の要因も影響してしまってOの差が生じているという可能性を否定しなければならないのです。
この考え方は介入研究についても同様です。
このように研究においてEまたはIとOのそれぞれに影響を与えるような因子は「第3の因子」とも呼ばれることがあります。
ちなみに「第3の因子」は1つとは限りません。複数存在するケースもあります。
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「第3の因子」の分類
「第3の因子」の分類は極めて重要です。
何故ならば、この「第3の因子」の分類によって統計解析の方針や方法が変わりうるからです。
今回は「第3の因子」の分類のみで、その違いによる統計解析への影響について詳細は述べませんが、いずれ解説できればと思います。
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予後因子
Oに影響を与えうるものの、E/Iには直接的に影響を与えないような「第3の因子」を予後因子と呼びます。
例えば、下記のような介入研究のケースを例に考えてみましょう。
高次脳機能障害の有無はADL自立度に影響しうることが知られています。
一方、高次脳機能障害の有無は必ずしも「通常訓練に加えて毎日スクワットを100回実施する」という介入に影響を与える訳ではありません。
このようなケースにおいて高次脳機能障害の有無は予後因子となります。
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中間因子
E/Iがあることによって、Oが起きる前段階に起こりうるような「第3の因子」を中間因子と呼びます。
例えば、下記のような介入研究のケース(予後因子の例と同様)を例に考えてみましょう。
1日の運動量が増加するとADL自立度が向上するという結果が得られやすくなることが知られています。
このように1日の運動量増加は、通常の訓練に追加してスクワットを100回/日行うということと、ADL自立度向上との間(≒過程)に生じることと考えることが出来ます。
このようなケースにおいて運動量の増加は中間因子となります。
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交絡因子
Oに影響を与える可能性があり、かつ、Eと関連性のあるような「第3の因子」を交絡因子と呼びます。
例えば下記のような観察研究のケースを例に考えてみましょう。
脳卒中患者のリハビリにおいて、治療修了時のADL自立度が骨粗鬆症という要因(E)の有無によって影響を受けるかを調査したとします。
仮に骨粗鬆症があればADL自立度は低い傾向があり、骨粗鬆症がなければADL自立度が高い傾向があるという結果が得られたとします。
果たしてこの結果だけから「脳卒中患者のリハビリは骨粗鬆症があるとADL自立度が低くなる傾向がある」と結論付けて良いものでしょうか?
答えはNoです。
このケースでは骨粗鬆症の有無と同時に、例えば患者の年齢はどうかということも検証していなければなりません。
脳卒中後のリハビリにおいて、年齢が高くなるほどADL自立度は上がりにくくなることが知られています。
また、年齢が高くなるほど骨粗鬆症の罹患率も高くなる傾向があります。
この段階では骨粗鬆症がADL自立度に影響を及ぼしているのか、それとも年齢がADL自立度に影響を及ぼしているのかが判断できません。
このケースにおいて、EとOとの関連性を歪めうる年齢という因子は交絡因子となります。
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効果修飾因子
E/IとOとの関連性について、それが存在することによって両者の関連性が強められたり弱められたりするような「第3の因子」を効果修飾因子と呼びます。
例えば下記のようなケースを例に考えてみましょう。
栄養状態は運動療法の効果をさらに引き上げたり、引き下げたりすることが知られています。
つまり、一般的に栄養状態が良好な中で運動量を増加されればより運動療法の効果は高まり、栄養状態が不良な中で運動量を増価させればかえって運動療法の効果は下がってしまいます。
このケースにおいて、Iの効果をより大きくしたり小さくしたりするような栄養状態という因子は効果修飾因子となります。
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最後に
今後も臨床研究に関して学んだことを記していきたいと思います
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ありがとうございました!!
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