備忘録として臨床研究について学んだことを記します
今回はコホート研究における交絡以外のバイアスの予防法について解説致します
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コホート研究で特に注意が必要な交絡以外のバイアス
コホート研究で特に注意が必要な交絡以外のバイアスは以下のものがあります。
● biased follow-up(ランダムでない脱落・バイアスのかかった症例追跡)
● 診断バイアス(コホート研究における)
● 発見兆候バイアス(コホート研究における)
これらは、コホート研究において比較の質を低下させる代表的な交絡以外のバイアスです。
これらの予防法について解説致します。
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biased follow-up(ランダムでない脱落・バイアスのかかった症例追跡)の予防法
コホート研究では一定期間、対象者を追跡してアウトカムの発生の有無を確認します。
その間に何らかの都合で一部の対象者において追跡ができなくなる「脱落(drop out)」が起こりえます。
このとき、理想的には要因の有無に関わらず均等に脱落が起こると良いのですが、現実的には要因の有無が脱落の起こりやすさに関連していることもあります。
すると要因の有無によって偏って脱落が起きてしまい、研究で得られる値は真の値から乖離したものとなってしまいます。このようなバイアスをbiased follow-up(ランダムでない脱落・バイアスのかかった症例追跡)と言います。
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biased follow-up を防ぐ最善の方法はフォローアップ率を上げることです。
例えば、研究参加者に定期的に調査に協力してもらうために定期的に連絡・リマインドをする。研究参加者が予定通り調査できなかった場合に備えて連絡先を聴取しておくなどです。
これらは、研究計画書作成段階で明記するのが良いでしょう。
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診断バイアス(コホート研究における)の予防法
診断バイアス(コホート研究における)とは、要因の有無がアウトカムの発生の判定そのものに使われている場合に起こりうるバイアスです。
診断バイアスによって、真の値から乖離して、要因のある者は極端にアウトカムが発生しやすくなり、要因のない者は極端にアウトカムが発生しにくいということが生じます。
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診断バイアスの予防方法としては、要因の有無をアウトカムの発生の判定に用いれないようにすることがポイントです。
そのためには
● 測定方法の標準化:要因の有無がアウトカムの発生の判定に用いられないような測定方法に統一する
● 測定者に対するマスク化(盲検化):要因の有無が分からない状態で測定者がアウトカムの発生を判定するように工夫する
● 研究に関与しない第三者による測定:研究に無関係の者がアウトカムの発生を判定するように工夫する
このような対策が有効です。
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発見兆候バイアス(コホート研究における)の予防法
発見兆候バイアス(コホート研究における)とは、要因の有無によってアウトカムの発生を確認する検査を受けるなど、より慎重な観察や発見のきっかけになっている場合に起こりうるバイアスです。
要因があることでアウトカムの発生を確認する検査を受ける確率が高まると、結果として要因を持った者においてアウトカムの発生率・リスクが過度に大きく算出されてしまうかもしれません。
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発見兆候バイアスの予防方法としては、要因の有無によってアウトカムの発生を確認する検査を行うか行わないかを判断できる余地を排除することがポイントです。
そのためには
● 測定方法の標準化:要因の有無に関わらず、どの研究参加に対しても均一にアウトカムの発生を確認する検査が行われるように統一する
● 測定者に対するマスク化(盲検化):要因の有無が分からない状態で測定者がアウトカムの発生を確認する検査を行うか行わないかを決定するように工夫する
● 研究に関与しない第三者による測定:研究に無関係の者がアウトカムの発生を確認する検査を行うか行わないかを決定するように工夫する
このような対策が有効です。
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最後に
今後も臨床研究に関して学んだことを記していきたいと思います
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ありがとうございました!!
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