備忘録として臨床研究について学んだことを記します
今回は統計指標であるP値について解説致します
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P値の “P” って何の略?
P値のPとは
● P = Probability
のことです。
英和辞典を引くと「確率」「起こりそうなこと」「見込み」「公算」などと日本語に訳されています。
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P値とは何を示す指標なのか?
P値の解説の前に帰無仮説を理解しよう
そもそも臨床研究とは、研究者自身が立てた仮説が正しいか否かを確認しようとする試みです。
ただし厳密に言うと実際に行われているのは、研究者自身の立てた仮説が正しいかを確認している訳ではありません。
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実際に行われているのは
● 「研究者自身が立てた仮説を否定する仮説」が正しい確率がかなり低い
ということを示すことで間接的に、研究者自身が立てた仮説が正しい確率がかなり高いのではないかと解釈しているのです。
とても回りくどい♪
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この「研究者自身が立てた仮説を否定する仮説」のことを「帰無仮説(Null Hypothesis)」と言います。
最終的に、「研究者自身の立てた仮説を否定するようなこの仮説は成り立たなさそうだ」、「研究者自身の立てた仮説を否定するようなこの仮説はなかったのだ(無に帰す)」、ということを示すための仮説なので帰無仮説と呼ばれます。
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つまり、臨床研究では帰無仮説が正しい確率が極めて低いことを示すことで、研究者自身が立てた仮説が正しい確率が高いということを示そうとしている訳です。
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P値が示すもの
P値とは以下のような統計的指標です。
● 研究で得られたデータと特定の統計モデルが矛盾する程度を示す指標
● 得られたデータから推測される効果の大きさ(点推定値)と効果の大きさの測定精度(区間推定)とを一つの値で示した指標
特に1つ目については何のことやらチンプンカンプンですね♪
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ここで言う「統計モデル」では以下のような項目が全て正しいと仮定されています。
● 対象者がランダムに割り付けられるなど交絡因子がない
● データにバイアスがない
● 研究計画が遵守されている(=示された方法の通りに研究が行われている)
● 帰無仮説が正しい (←要注目!!)
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P値が小さい場合、何を意味しているかというと
● 「統計モデル」の全ての項目が正しい場合には、およそ得られる可能性が極めて低いデータが得られた(起こりそうもないことが起きた)
↓
● 「統計モデル」のいずれかの項目が誤っている(=得られたデータと統計モデルが矛盾している)
P値の示しているのはあくまでもここまでです。
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実はP値だけ見ても、「統計モデル」のどの項目が誤っているか(1つだけでなく複数の可能性もあり)は判断できません。
ここで以前にも解説したように、しっかりと交絡因子を予防したり、バイアスを予防するなどして、研究計画を遵守・遂行しれば、統計モデルのうち誤っているのは
● 帰無仮説が正しい
という項目であることが初めて言える訳です。
過去に学んだように交絡因子やバイアスを予防しないまま得られたデータを元に統計解析してP値を算出しても、
立てた仮説が確からしいとは言えない訳ですね♪
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P値に関する誤解
P値に関して、よくある誤解としては
● P値は調べたい研究者自身が立てた仮説が正しい確率を示している
→誤り。直接的に調べたい研究者自身が立てた仮説が正しい確率を求めているのではありません。あくまでも狙いとしては「帰無仮説が正しいというには矛盾がある」ことを示そうとしています。しかも、前提として統計モデルにおいて帰無仮説以外の項目は正しいことが前提です。
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● P値は研究で得られたデータが偶然のみで得られた確率を示している
→誤り。得られたデータは必然の結果か偶然の結果かを示しているのではありません。得られた統計モデルが正しいと仮定した場合に、研究で得られたデータがどの程度矛盾するかを示しています。
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この他にもP値に関する「よくある誤解」は存在しますが今回はここまでとします
P値に関する「よくある誤解」は今後、
別の記事でより詳しく解説したいと思います♪
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最後に
今後も臨床研究に関して学んだことを記していきたいと思います
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ありがとうございました!!
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