備忘録として臨床研究について学んだことを記します
今回は臨床研究におけるサンプルサイズを設定する際の感度解析について解説致します
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感度解析とは?
臨床研究においては計画段階で、サンプルサイズ(N数)をどのくらいにするのか、計画開始前に予め設定することが重要であると繰り返し述べてきました。
サンプルサイズを設定する場合は
など、各パラメーターの見積もり値を元に、サンプルサイズを設定する訳ですが、あくまでも見積もり値であり、絶対的に正確なものではありません。
いざ、研究を開始してから、計画段階で想定していたよりも、主要評価項目でケース群とコントロール群との間の差が小さかったり、データのばらつきが大きかったりすることが発覚することもあります。
このように事前の見積もりよりも条件が悪くなった場合でも、ある程度の検出力を保つためには、どのくらいサンプルサイズが変化するのか(=どのくらいサンプルサイズを大きくすれば良いのか)を検討することを、感度解析と呼びます。
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【例】感度解析による検討
例えば以下のような見積もりの臨床研究を行ったとします
(数値は全て適当に設定した架空ものです)
● デイケアに通所する要介護3の後期高齢者を対象に2種類の運動を実施する
● コントロール群は筋力トレーニングのみ実施するが、ケース群は筋力トレーニングに加えてバランストレーニングも実施する
● 1年間運動を継続して、その間の転倒の発生割合を比較する
● 有意水準は5%(両側検定)とする
● 検出力は80%とする
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今回は、3つのシナリオで、それぞれサンプルサイズがどの程度変わるのかを検討しましょう
シナリオ①(メイン・シナリオ):コントロール群の転倒発生割合40%、ケース群の転倒発生割合25%
シナリオ②:コントロール群の転倒発生割合40%、ケース群の転倒発生割合20%(メイン・シナリオの想定よりも運動の効果の差が大きかった場合)
シナリオ③:コントロール群の転倒発生割合40%、ケース群の転倒発生割合30%(メイン・シナリオの想定よりも運動の効果の差が小さかった場合)
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3つのシナリオでは、下の表のようにサンプルサイズは変わります
表から分かるように、2つのグループの差が大きくなるほど必要なサンプルサイズは小さくなり、差が小さくなるほど必要なサンプルサイズは大きくなる傾向があります。
また、効果の差だけではなく、検出力が変わることでもサンプルサイズは変わります。
今回は、検出力を80%と設定しましたが、検出力を70%と落とせば必要なサンプルサイズは小さくなります。
想定よりも効果の差が小さく、また、サンプルサイズを大きくすることも困難な場合は、検出力を落とすことで現実的に集めることが出来るサンプルサイズに調整する方法があります。
今回は省略しましたが、「有意水準」「検出力」「効果の差の大きさ」「データのばらつきの大きさ」から、サンプルサイズを計算する方法も、いずれ紹介したいと思います
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最後に
今後も臨床研究に関して学んだことを記していきたいと思います
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ありがとうございました!!
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