【解説・神経経路】前脊髄視床路の機能と走行

ニューロリハビリテーション

.

前脊髄視床路の機能や走行が知りたいな

.

こんな人のための記事です。

.

ときとして療法士は脳卒中を始めとした神経に障害を負った方に対して、学習を促すことで生活を支援します。

神経経路に対する理解を深めることは、病態に応じた学習の促し方をより良いものにしてくれることでしょう。

.

とは言え、神経経路は多数存在し、その機能や走行を覚えるにも一苦労です。

.

恥ずかしながら学生時代の私は錐体路と錐体外路という言葉以外、それ以上の詳細な分類も機能も走行も理解していませんでした

.

そんな訳でこの記事は、神経経路の解説として

前脊髄視床路

に関してまとめました。

.

主な体性感覚の経路

前脊髄視床路の解説の前に主な体性感覚の経路を確認しましょう

.

主要な体性感覚の経路としては以下のものが挙げられます。

前脊髄視床路

外側脊髄視床路(新脊髄視床路と古脊髄視床路からなる)

前脊髄小脳路

後脊髄小脳路

後索路

楔状束核小脳路

三叉神経毛帯外側路

三叉神経毛帯背側路

三叉神経毛帯腹側路

.

神経の経路と言えば他には脳からの運動指令を伝える経路や、自身で実行した運動に関する情報をフィードバックする経路も存在します。

それらの詳細は別の機会に述べたいと思います。

.

前脊髄視床路の機能

表在感覚(皮膚や粘膜への接触したことで起こる感覚)を大脳皮質まで伝える経路の一つ

表在感覚の中の一つである粗大な触圧覚を伝える(大まかに触れたり圧されたりした感覚は伝えるが、接触した物がツルツルかザラザラか?柔らかいか硬いか?などは分からない)

大脳皮質まで感覚情報は伝わるので前脊髄視床路が伝える粗大な触圧覚は意識に上る

受容器が得た感覚情報は最終的に一次体性感覚野(=ブロードマン・エリアの3野・1野・2野、中心後回+極狭い範囲の中心前回)に伝えられる

例えば満員電車で電車が揺れて他の乗客の身体でギュッと押されたときの感覚(押されたことは分かっても、乗客が来ている服がゴワゴワしたデニムなのか?シャリシャリした麻なのか?ツルツルの絹なのか?までは分からないとき)

.

前脊髄視床路が情報を伝える順番

前脊髄視床路は以下の順番で大脳皮質の一次体性感覚野(=ブロードマン・エリアの3野・1野・2野、中心後回+極狭い範囲の中心前回)まで情報を伝えます。

.

身体の表面の皮膚や粘膜にある偽単極性ニューロンの末梢枝の端末(粗大な触圧覚の受容器は第1次ニューロン、神経の樹状突起に相当する部分)

…….

偽単極性ニューロンの末梢枝

…….

後根神経節(=脊髄神経節)

…….

後根

…….

脊髄後索内に入ると上下に分かれて上行線維は2~15髄節上行して脊髄後角の感覚性ニューロン(2次ニューロン)に接続する、下行線維は2髄節下行して後角の灰白質でシナプス結合する

…….

後索内を上行する線維は脊髄後角の感覚性ニューロンに接続(ここから2次ニューロン)

…….

前交連(=白交連)を通って感覚入力があったのとは反対側の前側索(前索と側索の境界領域)を上行する

…….

延髄内側毛帯の外側部(実は前脊髄視床路の脳幹内の走行は詳しく分かっていない)

…….

橋内側毛帯の外側部(脊髄毛帯と呼ばれている、実は前脊髄視床路の脳幹内の走行は詳しく分かっていない)

…….

中脳内側毛帯の外側部(脊髄毛帯と呼ばれている、実は前脊髄視床路の脳幹内の走行は詳しく分かっていない)

…….

視床後外側腹側核(ventral posterolateral nucleus:VPL)(ここから3次ニューロン)

…….

一次体性感覚野(=ブロードマン・エリアの3野・1野・2野、中心後回+極狭い範囲の中心前回)

.

【図】大脳皮質から後根神経節

.

図中の番号の解説

① 一次体性感覚野

② 尾状核

③ 視床  ※接続しているのは後外側腹側核(ventral posterolateral nucleus:VPL)

④ 前障

⑤ 被殻

⑥ 淡蒼球

⑦ 中脳・内側毛帯  ※通過しているのは外側部(脊髄毛帯)と考えられている

⑧ 赤核

⑨ 内側縦束

⑩ 橋・内側毛帯  ※通過しているのは外側部(脊髄毛帯)と考えられている

⑪ 前庭神経核

⑫ 延髄・内側毛帯  ※通過しているのは外側部(脊髄毛帯)と考えられている

⑬ 主オリーブ核

⑭ 前交連(=白交連)

⑮ 脊髄後角・感覚性ニューロン

⑯ 後根

⑰ 後根神経節(=脊髄神経節)

.

【図】脊髄レベルでの詳細な断面図

.

図中の番号の解説

⑱ 前脊髄視床路

⑲ 前脊髄視床路

⑳ 薄束

㉑ 楔状束

㉒ 後索路(薄束 + 楔状束)

㉓ 脊髄後角・感覚性ニューロン

㉔ 後脊髄小脳路

㉕ 脊髄白質に侵入した後根の上行線維

㉖ 前脊髄小脳路

㉗ 古脊髄小脳路(Paleospinothalamic part)

㉘ 新脊髄小脳路(Neospinothalamic part)

㉙ 外側脊髄視床路(新脊髄視床路 + 古脊髄視床路)

㉚ 脊髄視蓋路

㉛ 脊髄オリーブ路

㉜ 後根

㉝ 後根神経節(脊髄神経節)

㉞ 偽単極性ニューロンの末梢枝

㉟ 脊髄白質に侵入した後根の下行線維

.

まとめ

前脊髄視床路の機能と走行に関してまとめました

.

表在感覚(皮膚や粘膜への接触したことで起こる感覚)を大脳皮質まで伝える経路の一つ

表在感覚の中の一つである粗大な触圧覚を伝える

大脳皮質まで感覚情報は伝わるので前脊髄視床路が伝える粗大な触圧覚は意識に上る

後根から脊髄白質に侵入して上行線維と下行線維とに分かれ、上行線維は侵入したのと同側を2~15髄節上行して侵入したのと同側の脊髄後角の感覚性ニューロンに接続する

感覚性ニューロンに接続後は前交連を通って侵入したのと反対側の前側索を上行し、視床後外側腹側核から一次体性感覚野に至る

.

他の感覚の経路についても今後まとめたいと思います♪

ありがとうございました!!

.

.

コメント

タイトルとURLをコピーしました