備忘録として臨床研究について学んだことを記します
今回は主観的概念を測定する際の注意点について解説致します
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主観的概念とは?
現在、臨床的に行われている方法では数値化したり、目視したりすることが困難な概念は主観的概念に分類されます。
具体的には以下のようなものがあります
● 転倒に対する不安感
● 治療結果に対する患者満足感
● 医療従事者の仕事へのやりがい
● 腰痛を患ったことによる日常生活への悪影響の程度
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これらのことは、その人の生活環境、社会的立場、価値観などの影響を大きく受けて、かつ、最終的にはその人の脳の中で判断や感じ方が変わることですので、体重や血圧を測定するようにはいきません。
国籍など文化形成が異なる人の間では、同じ概念であっても同じ尺度で測定して比較することは不適切なこともありえます。
このような概念は主観的概念に分類されます。
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主観的概念を測定可能な変数に置き換える
先に挙げた「医療従事者の仕事へのやりがい」を例にしましょう。
「仕事へのやりがい」という主観的概念は人によってどのようなことが起きるとやりがいを感じるかが異なります。そのため、このままでは測定が出来ません。
したがって、測定したい主観的概念を実際に測定可能な変数に置き換えて測定します。
多くの場合は、「仕事」を通じて「やりがい」と関連が深いと考えられる事象が起きているか否かを、いくつかの質問に答えてもらうことで測定しようとします。
具体的には以下のようなイメージです。
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医療従事者の皆さんは、どのようなときに仕事へのやりがいを感じますか?
患者や患者家族から感謝の言葉を貰えると
この仕事をしていて良かったなぁと感じるよ
上司や先輩から仕事のことで褒められても嬉しくなるわ
言葉だけでなく適切な給与や休暇が取得できなければ
公正に評価してもらっていると満足できないわ
業務改善などで自分の意見を聞いてもらえるということも
自分が認められていると感じるな
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「仕事へのやりがい」はこれらのような事象が起きることで感じることが出来るものではないか、というように定義したとすると、「仕事へのやりがい」は以下のような複数の質問によって総合的判断することができます。
● 患者や患者家族から感謝の言葉を伝えられていますか?
● 上司や先輩から仕事のことで褒められることはありますか?
● 適切な給与を得ていると感じますか?
● 休暇の取得には満足していますか?
● 業務改善などで自分の意見を聞いてもらえていると感じますか?
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これら個々の質問に対して Yes/No や5点満点などで回答すれば、「仕事へのやりがい」を定量化することが可能となります。
つまり、そのままでは測定不能な主観的概念を、構成する概念に細分化し測定可能な変数に置き換えることで測定をするのです。
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最後に
今後も臨床研究に関して学んだことを記していきたいと思います
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ありがとうございました!!
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