【研究デザインの解説】記述研究の特徴

臨床研究への道程

備忘録として臨床研究について学んだことを記します

今回は研究デザインの中の記述研究の特徴について解説します

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データの取り方と順序

臨床における漠然とした疑問(=CQ)を、明確で具体的な問いへと構造化した(=RQ)あとに、いよいよデータの取り方とその順序を決めなければなりません。

問いを科学的に高い水準で検証するためには、適切なデータの取り方とその順序が極めて重要です。

そしてデータの取り方とその順序によって研究方法を分類したものは一般的に「研究デザイン」と呼ばれ、研究デザインは下図のようにいくつかの型に分類されます。

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図にあるように記述研究のデータの取り方と順序に関する特徴としては

研究者自身が介入方法を計画していない

比較対象がない

以上の2点が挙げられます。

記述研究では、ある一時点においてアウトカムを測定するか(横断的アプローチ)、あるいは経時的に追跡してアウトカムを測定するか(縦断的アプローチ)は問いません。

横断的アプローチも、縦断的アプローチも、どちらでも研究が行われます。

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記述研究を用いるCQの型

記述研究を用いるのに適したCQの型は

病気や診療の実態を調べる研究

以上の型が挙げられます。

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臨床医学においては、パーキンソン病、関節リウマチ、糖尿病など、いまだ疾患について究明されていない事柄があるにも関わらず、その疾患や症候の概念が受け入れられているものがあります。

また、疾患について究明されていない事柄がありながらも、確立した疾患概念に基づいて診断や治療方針が決定されています。

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最近では新型インフルエンザや新型コロナウイルスにおいて、様々な記述研究が発表されることで

この病気ではこのような症状が現れうる

この病気はこれくらいの死亡率だ

この病気には臨床現場においてこのような治療が行われている

など、私たちは病気や診療の実態を知ることができました。

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このように、比較対象を作りにくい状況においては、記述研究はとても有益な研究デザインです。

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記述研究の長所と短所

長所は、他の研究デザインと比べると短期間に研究計画を作成して実施できる点です。

基本的には目の前にある物事をそのまま観察するだけなので、「問いの構造化」や「交絡因子は何か?」など複雑な検討は必要ありません。

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一方、短所としては比較対象がないため、分析的な検討ができないことです。

「要因とアウトカムが関連しているのか?」「治療方法は効果的と言えるのか?」などは記述研究では検討できません。

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最後に

今後も臨床研究に関して学んだことを記していきたいと思います

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ありがとうございました!!

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