【研究デザインの解説】介入研究の特徴

臨床研究への道程

備忘録として臨床研究について学んだことを記します

今回は研究デザインの中の介入研究の特徴について解説します

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データの取り方と順序

臨床における漠然とした疑問(=CQ)を、明確で具体的な問いへと構造化した(=RQ)あとに、いよいよデータの取り方とその順序を決めなければなりません。

問いを科学的に高い水準で検証するためには、適切なデータの取り方とその順序が極めて重要です。

そしてデータの取り方とその順序によって研究方法を分類したものは一般的に「研究デザイン」と呼ばれ、研究デザインは下図のようにいくつかの型に分類されます。

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図にあるように介入研究のデータの取り方と順序に関する特徴としては

研究者自身が介入方法を計画している(=要因のあり・なしを操作できる)

比較対象がある(これは図には記していませんが大前提として)

以上の2点が挙げられます。

介入研究では、要因(この場合はある治療法や予防法の実施)のあり・なしを誰に割り振るかを操作できます。

この点が観察研究(記述研究、コホート研究、ケース・コントロール研究など)との大きな違いです。

介入研究では、研究者の操作によって要因のあり・なしを割り振った後に、実際に治療法や予防法を実施して、それぞれの対象集団においてアウトカムの発生の比や差を比較することになります。

そのため介入研究は必然的に「前向き」の研究となります。

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介入研究を用いるCQの型

介入研究を用いるのに適したCQの型は

治療法や予防法の効果を調べる研究

以上の型が挙げられます。

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長所と短所

長所は

対象者をランダムに割り振った場合、測定していない交絡因子や未知の交絡因子さえも両群に均等に分布することが期待できる(あくまでも「確率的に期待できる」という意味)

以上が挙げられます。

長所を1つしか挙げていないので「大して長所がないのか?」と思われるかもしれません。

しかし、この介入群と対象群とに交絡因子を確率的に均等に分布させることが期待できるというのは、観察研究では不可能なことです。

観察研究ではどこまで対策をしても、測定していない交絡因子や未知の交絡因子が研究結果を歪めてしまう可能性が付きまといます。

介入研究でも交絡因子が研究結果を歪めてしまう可能性をゼロにはできませんが、観察研究と比べて極めてその影響を小さくすることが確率的に期待できるのです。

測定していない因子の影響は両群に均等に及んでいるのだから(あくまでも確率的には)、要因のあり・なしによる効果の比や差が、交絡因子によって歪められる可能性も極めて低いと考えられます。

よって、介入研究の中でもランダム化比較試験は最も強いエビデンスを提供すると考えられているのです。

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一方、短所は

介入者(治療や予防を実施する者)自身が、どの患者が介入群でどの患者が対象群なのか知っている場合には、介入群への治療や予防を手厚くしてしまうかもしれない(介入者自身がその介入方法が効果的であろうと考えており、それを証明したいという意図があるから)

研究参加者が、自身が介入群に割り振られたことを知っている場合には、治療法や予防法が効果があるはずだと信じ込むことで、その思い込みがアウトカムの発生に影響を与えてしまうかもしれない(特に治療への満足度や痛みなど患者の主観的なものをアウトカムとする場合)

得られたアウトカムを測定する者が、どの患者が介入群でどの患者が対象群なのか知っている場合には、測定者の仮説に有利に働く測定をしてしまうかもしれない(測定者は自身の仮説が正しいことを証明したいという意図があるから)

介入方法の定義と標準化が曖昧だと介入の程度に強弱が生じたり、介入の質に差が生じたりして、介入の効果が正しく測定できない

研究参加者を「理想的過ぎる(例えば回復期リハの治療に関して合併症のない60歳以下の患者ばかりで検証するなど)」状況にしてしまうと、現実世界を反映した臨床研究とならない

以上が挙げられます。

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最後に

今後も臨床研究に関して学んだことを記していきたいと思います

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ありがとうございました!!

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