備忘録として臨床研究について学んだことを記します
今回は情報バイアスの種類について解説致します
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【復習】情報バイアスとは何か?
臨床研究において誤差とは、得られた結果と真実の値との不一致のことを指します。
誤差の大まかな分類は下図のように示すことが出来ます。
情報バイアスとは系統誤差の中でも交絡以外のものであり、アウトカムを測定する段階で発生する誤差を指します。
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情報バイアスの種類
ホーソン効果(Hawthorne effect)
患者が信頼する医療者による治療を受けたことで「病気が良くなった感じがする」と告げる現象です。
いわゆるプラセボ効果の一種です。
例えば
● 理学療法士の徒手療法講習会で講師が受講者に治療デモを行うと、「〇〇テクニック・国際インストラクターによる治療だから動きが良くなったはずだ!!」と受講者は思い込んでデモの後に講師に「先生、動きが凄く良くなりました!!」と言ってしまう
● 高齢患者が、いつも一生懸命に真面目に関わってくれる孫の年齢くらいの療法士がマッサージをしてくれたので「凄く調子がよくなった」と療法士に告げる
このようなものは、いずれもホーソン効果と言えます。
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臨床的にはこのような効果を敢えて期待して治療を行うこともありますので、場面によっては否定することではありません。
しかしながら、臨床研究においてはこのような効果は比較の質の低下、すなわち臨床研究の科学性の低下を招きかねないので、注意が必要です。
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面接者バイアス(interviewer bias)
患者が誰から回答を求められたかによって、意識的・無意識的を問わずその答え方を変えてしまうような現象を面接者バイアスと言います。
例えば、医師が患者のQOLを測定するような研究に取り組んだとします。
その医師は日ごろから患者に丁寧に問診をして、患者からの質問にも誠実に答えていました。
その医師が処方した内服薬を使用したことによるQOLを測定するために、医師から直接患者へアンケート用紙を手渡されたとします。
このような場合、患者は意識的・無意識的を問わず、QOLを高めに答えてしまうことが知られています。
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思い出しバイアス(recall bias)
このバイアスは主としてケース・コントロール研究で問題となります。
ケースとコントロールとの間に要因への曝露を思い出す程度に差が出てしまうような現象を思い出しバイアスと言います。
例えば変形性膝関節症によってTKAを施行するに至ったケースと、そうでないコントロールとの間で、疑わしい要因の情報を聴取したとします。
すると、ケースからは下肢の外傷歴や生活習慣などの要因への曝露を、コントロールと比べて明確に思い出すことがしばしばあります。
その結果それらの要因が、TKAを施行するに至るというアウトカムとの関連の程度が真の値よりも高く判断されてしまう可能性があります。
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家族情報バイアス(family information bias)
家族情報バイアスは、先に解説した思い出すバイアスとよく似た現象です。
疾患を持つ者はそうでない者に比べて、家族の生活習慣・健康状態・疾患にも関心が高くなる傾向があります。
そのため、家族歴を聴取すると、コントロールよりもケースの方が家族歴をより正確に思い出し、得られる情報に差が出てしまいがちです。
結果として、ケースにおいて家族歴のオッズが過大評価されやすくなってしまいます。
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最後に
今後も臨床研究に関して学んだことを記していきたいと思います
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ありがとうございました!!
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