備忘録として臨床研究について学んだことを記します
今回は臨床研究における交絡の予防法の1つであるランダム化(無作為化)について解説致します
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【復習】交絡とは?
集団がもともと持っているアウトカムの起こしやすさを生み出している要因を「第3の因子」と呼びます。
第3の因子のうち以下の条件を満たすものを特に交絡因子と呼びます。
● アウトカムの起こしやすさに影響を与える
● 2つの集団を比較するときに一方の集団だけに偏って存在する
● 要因(または介入)の結果生じるもの(中間因子)ではない
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交絡因子が存在すると、比較の質を大きく低下させてしまいます。
つまり、私たちの臨床研究の妨げとなりえます。
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「第3の因子」について学び直したい方はコチラの記事をご覧ください
交絡の定義について学び直したい方はコチラの記事をご覧ください
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交絡の予防法
交絡以外のバイアスを予防する場合は、研究デザインによって特に注意すべきバイアスが異なるため研究デザイン別に予防法を理解する必要がありました。
一方、交絡についてはどの研究デザインにおいても予防法は共通していますので、研究デザインに関わらずこれから紹介する方法で対策します。
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交絡の予防法には
● 限定
● ランダム化(無作為化)
● 傾向スコアによるマッチング
以上の3つがあります。
今回はこのうちのランダム化について見てみましょ~♪
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単純ランダム化
単純ランダム化とは、介入研究において研究参加者を割り付けるときに、介入群と対象群とにランダム(無作為)に割り付ける方法です。
原則として介入群と対象群とが同数となるように割り付けをします。
例えば以下のように割り付けることがあります。
● 転倒予防教室参加者30名に対して新しい転倒予防の方法が効果的か検証するために3年間介入・経過観察した。対象群15名は従来の体操を行い、介入群15名は従来の体操に加えて認知課題も行った。対象群と介入群はランダムに割り付けた。
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単純ランダム化が素晴らしいのは、測定していない交絡因子や、まだ発見されていない未知の交絡因子についても介入群と対象群とに均等に分布することが期待できる点です(100%保証される訳ではありませんが)。
ただし、サンプルサイズ(=研究参加者の人数)が小さすぎる場合は、いくらランダムに割り付けても交絡因子が一方の群に偏って分布する可能性を十分に下げることが出来ません。
必要十分なサンプルサイズで研究を行って、初めて単純ランダム化のメリットを享受できる点に注意が必要です。
必要十分なサンプルサイズの求め方は現在勉強中です♪
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層別ランダム化
層別ランダム化とは、重要な予後因子の分布が偏るのを防ぐために、予後因子で層別化してからランダムに割り付ける方法です。
原則として介入群と対象群とが同数となるように割り付けをします。
例えば以下のように割り付けることがあります。
● 転倒予防教室参加者30名に対して新しい転倒予防の方法が効果的か検証するために3年間介入・経過観察した。対象群15名は従来の体操を行い、介入群15名は従来の体操に加えて認知課題も行った。参加者は65~74歳の10名と75歳以上の20名とに層別化してから、両群ともに65~74歳の者が5名、75歳以上の者が10名となるようランダムに割り付けた。
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層別ランダム化は全くの無作為の結果、偶然にも重要な予後因子が偏って分布してしまうことを防ぐことが出来ます。
「無作為化」と言いつつも、敢えて研究の比較の質を担保するために「作為」を加えるわけです。
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注意が必要なことは、層別化するときの層の数が多くなると各層のサンプルサイズは小さくなってしまいます。
すると、層として用いた因子以外の因子(測定していない因子も含めて)が均等に分布しない可能性が高まり、ランダム化のメリットを享受できなくなってしまいます。
注意点は単純ランダム化と根本的には同じということですね♪
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最後に
今後も臨床研究に関して学んだことを記していきたいと思います
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ありがとうございました!!
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