考慮すべきはエビデンスだけじゃない?”〇〇に基づく医療”

その他

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医療における治療方法を選択する権利は患者にあり、医療従事者は患者の意思決定を支援する責務があります。

その理念を端的に現わしているは”Evidence-based medichine”という医療のあり方だと思います。

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私も学生時代からそのように教育され臨床で働き始めた訳です。

働き始めると患者さんやそのご家族の意思決定に関わる中で、あるいは医療に関するニュースについてそれまでよりは自分なりに考察する機会が増えました。

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そうしているうちに、科学的根拠に基づく医療という考え方に至った先人たちの崇高な志を知るとともに、医療従事者としては患者の意思決定を支援するには科学的根拠だけでなく他の側面も踏まえて提案できることも重要であることを感じました。

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今回は医療従事者が患者さんとともに治療方針・手段を決定する際に考慮すべき3つの医療あり方を紹介したいと思います

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なお、私としては3つのうち、どれが優れていてどれが劣っているということは全くない考えています。

3つの側面を全て踏まえて、その時々で患者さんにとってより良い選択ができるように支援する姿勢が大事であると考えています。

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Evidence-based medichine(EBM)

根拠に基づく医療”と訳されます。

良心的に、明確に、分別を持って、最新・最良、そして、客観的・科学的な医学知見に基づいて患者とともに治療方針・手段を決定する医療のあり方を指します。

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EBMの成果を説明する際に、あまりに有名なエピソードとしてCAST studyが挙げられると思います。

私も学生時代にEBMの説明としてこの話を聞いたと記憶しています。

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かつて、心筋梗塞の急性期を過ぎてから合併する不整脈がしばしば致死的となるため、死亡率を下げるであろうという予測に基づいて医師は抗不整脈薬を投与することが一般的だったそうです。

ところがランダム化比較試験による臨床研究を実施したところ、抗不整脈薬の使用がかえって死亡率を高めているということが判明し、以後、一律に心筋梗塞の急性期を過ぎた患者に抗不整脈薬を投与することはなくなったとのことです。

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長らく常識、あるいは、標準的とされる治療に関しても、科学的に客観的に検証することの重要性をよく教えてくれます。

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Practiced-based medichine(PBM)

実践に基づく医療”と訳されます。

治療者の過去の実践・経験を根拠に、患者とともに治療方針・手段を決定する医療のあり方を指します。

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これの実例としては、ハンガリー人の医師であるセンメルヴェイスのエピソードが挙げられます。

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19世紀のヨーロッパでは、妊婦が出産直後に原因不明の発熱(産褥熱)によって死亡する事例が多発していたそうです。

産科医であるセンメルヴェイスは、研修医時代のあるとき自身の勤務する病院の2つある産科のうち、産褥熱による死亡例は第一産科(医師が赤ん坊を取り上げていた)では死亡率が高く、第二産科(助産婦が赤ん坊を取り上げた)では低いことに気が付きます。

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妊婦の間でも産科の違いで死亡率が異なることは経験的に知られていたそうで、第一産科に割り当てられることを知った妊婦の中には、第一産科での出産を拒むためにわざわざ屋外で出産をする者までいたそうです。

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センメルヴェイスは後に、医師は手を洗わず、助産婦は手を洗って赤ん坊を取り上げていたことから手指消毒が有効ではないかと考え、それを実証して見せました。

つまり産褥熱の原因は手指に付着した細菌が原因だった訳です。

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はっきりとした原因は分からず理屈で説明することは難しくとも、十分な経験や実践に基づいて効果的であると知られている手段を選択肢に含めることは必ずしも間違いではないのです。

勿論、経験や実践だけに留めず、将来的に科学的な検証を行うことは必要ではございますが。

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Narrative-based medichine(NBM)

物語に基づく医療”あるいは”叙述に基づく医療”と訳されます。

患者との対話を通じて、患者の価値観・人生観を根拠に、患者とともに治療方針・手段を決定する医療のあり方を指します。

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この実例としては、私は歌手のつんく♂さんと歌手の忌野清志郎さんのエピソードが印象に強く残っています。

お二人とも喉頭がんを患いましたが、その治療手段は対称的でした。

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つんく♂さんは手術を受け声帯を摘出し声を失うという生き方を選択されました。

忌野清志郎さんは手術は受けず歌える声を失わないという生き方を選択されました。

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同じ病気に罹り、同様の治療手段を提示されたときに、それぞれが重視した生き方によって結果的に異なる治療手段を選択したという点で、それぞれのそのときの価値観や人生観が表れているのではないかと感じました。

お二人のニュースを知ったのが数年程度のずれしかなかったので、より印象に残っています。

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まとめ

医療従事者が患者さんとともに治療方針・手段を決定をする際には考慮すべき3つの医療のあり方があります。

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科学的・客観的医学知見を踏まえた”根拠に基づく医療”

十分な経験知から導き出される”経験・実践に基づく医療”

患者さんの価値観・人生観を踏まえた”物語・叙述に基づく医療”

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どれが優れている、どれが劣っているということは全くございません。

医療従事者は全ての側面を踏まえて患者さんに提案をして、患者さんとともに考え、患者さんの治療に関する意思決定を支援する。

これが理想的な姿かと思います。

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皆様は日頃の臨床で患者さんの意思決定をどのようにサポートしているでしょうか?

コメントを頂ければ嬉しいです。

今回も最後までご覧いただきありがとうございました!!

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