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以前、ご紹介したように、私の部署の管理者としての最初の大きな仕事は、病院機能評価への準備を指揮することでした(詳しくはこちらをご覧下さい)。
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病院機能評価はその病院が質の高い医療を提供しているかを評価するものです。
「自分たちは質の高い医療を提供している」と言うことはいくらでも出来ます。
しかし、これだけで世間から信用されることは難しいものです。
この主張に説得力を持たせるためには、社会的に信頼のある第3者からのお墨付きを得ることが有効であり、病院機能評価受審の1つの意義と言えるでしょう。
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質の高い医療とは何かを説明した際にも触れたように、質の高い医療とは
①患者・患者の要求するものと自分たちの提供するサービスが一致している
②継続的な改善をしている
以上の条件を満たしている医療サービスと定義されます。
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ところで、質の高い医療の定義は分かったものの、それを構成する要素をご存じでしょうか?
今回は質の高い医療を構成する3つの要素を説明致します。
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この記事を読むことで、
①医療の質を構成する要素への理解が深まる
②自分たちの提供する医療において質の高い点や、今後、業務改善が必要な点が整理しやすくなる
③病院機能評価における準備が進めやすくなる
以上のことが期待できます。
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医療・介護制度の骨子【ドナベディアン・モデルとは?】
日本の医療・介護制度はドナベディアン・モデルが骨子となっています。
病院の業務は医療制度を背景に様々な仕組みや工夫がなされています。
従って、病院機能評価においてもドナベディアン・モデルに沿って業務の改善点を整理することが、有効となる訳です。
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ドナベディアン・モデルとは、Avedis Dnabedian(1919-2000:医師。ミシガン大学教授。現在のレバノン共和国生まれ。)が提唱した医療の質を評価するための概念です。
ドナベディアンは、医療の質は以下の3つの側面から評価されると考えました。
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①構造(Structure)
②過程(Process)
③成果(Outcome)
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3つの要素について、病院機能評価受審への準備を例に交えつつ説明したいと思います。
病院機能評価・リハビリテーション病院<3rdG:Ver.2.0>の評価項目の1つに ”患者と診療情報を共有し、医療への患者参加を促進している”(項目番号1-1-3) というものがあります。以下はこの項目を例に説明します。
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構造(Structure)
ドナベディアン・モデルにおける構造とは環境・設備・道具・人員など、どのような状況の下で医療が提供されているかということです。
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回復期リハビリテーション病院であれば
- リハビリテーション室の面積
- 回復期リハビリテーション病棟専従者の配置
- 看護職員の配置人数
- ADL訓練をする設備がある
などはこれにあたります。
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病院機能評価・リハビリテーション病院<3rdG:Ver.2.0>の ”患者と診療情報を共有し、医療への患者参加を促進している”(項目番号1-1-3)を例にします。
この項目では
- ”診療・ケアに必要な情報の共有”
- ”患者の理解を深めるための支援・工夫”
以上の2点が高く評価されるための要素として解説書にも明記されています。
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そのため、例えば以下のようなものは”患者と診療情報を共有し、医療への患者参加を促進している”のに適切な構造(Structure)と言えるでしょう。
- 患者・患者家族に入院生活のオリエンテーリングを行う際にパンフレットを使用している。そのパンフレットは写真や平易な文章で、入院生活の1日の流れや、入院から退院までの流れを説明している。(道具の工夫)
- 入院生活のオリエンテーリングに使用するパンフレットは、受付やナースステーションに置いている。また、置く場所は場所や高さを工夫して車いすの患者にも手に取りやすい状況にある。(環境の工夫)
- 病棟廊下にも、平行棒やプラットフォームを設置して訓練を実施している。訓練中は頻繁に多職種がそこを通過するので、リハビリテーションの進行状況をスタッフ間で共有しやすい病院の造りになっている。(設備の工夫)
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構造は全ての提供される医療サービスの土台となるものです。
これが整っていない状態では、適切に患者・患者家族の要求事項に応えることはできません。
従って第一に整えるべきのは構造です。
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過程(Process)
ドナベディアン・モデルにおける過程とは手順・手続き・ルール・マニュアル・仕組み・取り組みなど、どのようにして医療が提供されているかということです。
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回復期リハビリテーション病院であれば
- 患者に毎日1日平均2単位以上リハビリ介入している。
- 365日休みなくリハビリ介入している。
- 多職種が参加してリハビリテーション総合実施計画書を作成している。
- 患者の運動量を増加させるために療法士の訓練を補完するものとして、ロボットや治療的電気刺激機器を活用している。
などはこれにあたります。
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病院機能評価・リハビリテーション病院<3rdG:Ver.2.0>の ”患者と診療情報を共有し、医療への患者参加を促進している”(項目番号1-1-3)を例にします。
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例えば以下のようなものは”患者と診療情報を共有し、医療への患者参加を促進している”のに適切な過程(Process)と言えるでしょう。
- 主な転院元ととなる急性期病院には、病院のパンフレットを置くよう依頼しており、患者・患者家族に対して転院する前から回復期リハビリテーション病院における1日の生活の流れや、転院から退院までの流れを理解しやすくしている。(取り組みの工夫)
- 回復期リハビリテーション病棟入棟時のオリエンテーリングには同時に多職種が参加していて、入院初日からスタッフ間で患者に関する情報を共有するための努力をしている。(取り組みの工夫)
- 多職種でリハビリの進行状況が共有しやすくなるよう、療法士はリハビリ室だけでなく病棟廊下に設置された平行棒やプラットフォームで1日に1時間は練習を実施するようにルール化されている。また、ルールが守られるよう毎日の朝礼で病棟でも訓練を実施するように呼びかけられている。(ルールの工夫)
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良い構造(環境・設備・道具・人員)だけでは質の高い医療サービスは提供できません。
それを上手に使いこなすことが求められます。
つまり第二に考えるべきは過程(構造をどのように使いこなすか)です。
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結果(Outcome)
ドナベディアン・モデルにおける結果とは提供された医療サービスなどによる変化であり、取り組みによってどうなったかということです。
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回復期リハビリテーション病院であれば
- 実績指数
- 日常生活機能評価重症者の改善度やその割合
- 在宅復帰率
などはこれにあたります。
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病院機能評価・リハビリテーション病院<3rdG:Ver.2.0>の ”患者と診療情報を共有し、医療への患者参加を促進している”(項目番号1-1-3)を例にします。
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例えば以下のようなものは”患者と診療情報を共有し、医療への患者参加を促進している”ことで得られた望ましい結果(Outcome)と言えるでしょう。
- 主な転院元ととなる急性期病院には、病院のパンフレットを置くよう依頼しており、患者・患者家族に対して転院する前から回復期リハビリテーション病院における1日の生活の流れや、転院から退院までの流れを理解しやすくしている。これによって、1年前は入院時のオリエンテーリングに1時間掛かっていたが、患者・患者家族の理解が得られやすく現在は30分間でオリエンテーリングを終えられるようになった。
- 多職種でリハビリの進行状況が共有しやすくなるよう、療法士はリハビリ室だけでなく病棟廊下に設置された平行棒やプラットフォームで1日に1時間は練習を実施するようにルール化されている。また、ルールが守られるよう毎日の朝礼で病棟でも訓練を実施するように呼びかけられている。これによってスタッフ間のリハビリの進行状況に関して情報共有しやすくなり、1年前は20分間掛かっていたカンファレンスの時間が現在では10分間でカンファレンスを終えられるようになった。
- 患者に対する入院時のオリエンテーリングや多職種参加のカンファレンスの取り組みを工夫した結果、医療への患者参加を促進することが出来た。その証明として患者への退院時のアンケートで「自身が医療に参加できたため満足のいく治療方針を選択できた」と回答する患者の割合が1年前よりも30%増加した。
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質の高い医療サービスは最終的に患者・患者家族の要求事項を満足させたか否かが問われます。
そもそも構造や過程は、望ましい結果を得るためのステップなのです。
最後に検証を欠かしてはならないのは結果です。
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まとめ
● 医療の質を評価する概念にドナベディアン・モデルがある
● 日本の医療制度はドナベディアン・モデルに沿って構築されている
● 病院機能評価受審に向けて継続的な業務改善に取り組む上で、自分たちの業務を”構造”→”過程”→”結果”に分解・整理して順番に改善を図ると良い。
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以上、医療の質を構成する要素について、ドナベディアン・モデルを説明致しました。
皆様の職場での業務改善の取り組みをコメント頂ければ幸いです。
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最後までご覧頂きまして誠にありがとうございました!!
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