【2393】日本ケアサプライの2023年3月期2Qの決算について分析致します
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事業内容
まずは日本ケアサプライの事業内容を簡単に紹介致します
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● 福祉用具レンタル卸・販売:福祉用具メーカーから介護保険対象の福祉用具を購入し、それらを福祉用具貸与事業者にレンタルまたは販売する、福祉用具貸与業者から返却されたレンタル品は日本ケアサプライで洗浄・消毒、検品・修理、保管する
● 介護事業者支援セミナー:介護事業従事者向けのセミナーを開催、セミナーはオンライン形式で参加費無料
● e-KaigoNetシリーズ:福祉用具貸与事業者の業務を支援する様々なクラウドサービスを運営、利用者に対する福祉用具の提案・発注・利用計画の管理一元化、福祉用具の発注から保険請求の事務作業一元化、福祉用具の全国平均価格と上限価格の確認、福祉用具のアウトレット品を販売するECサイト
● SOIN(ソワン):人工知能を使ったケアマネジメント支援ツール、過去のデータに基づいて人工知能が「改善可能性の高いプラン」と「状態が最も近い方のプラン」の2つのおすすめプランを提案する、約1年後の状態予測、人工知能が提案するプランやケアマネージャー自身が考えるプランについて基本動作・ADL・IADLの各項目の状態予測を比較する
● グリーンケアオンラインショップ:事業者向けのECサイト、高齢者生活関連商品を取り扱う
● 食事サービス:病院や介護事業所向けに調理済み・盛付済みの冷凍弁当を販売、患者・利用者への食事提供に関して事業者の衛生管理・栄養管理・嚥下調整食対応・調理スタッフの不足などの課題を解決
● おむピタ:おむつのフィッティング付き配送サービス、おむつメーカーの専門家が利用者に聴取しておむつのフィッティングをした後メーカーから利用者宅へ直接おむつを配送する、利用者は介護事業者を通じて日本ケアサプライへサービス利用を申し込む、利用者はフィットしたおむつを使用することによるおむつ漏れの改善・買い物の手間の軽減が期待できる、介護事業者は保険外収益が期待できる
福祉用具レンタル卸、介護事業者の業務効率化、高齢者生活支援など、
事業者を対象としたビジネスを展開しています
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収益構成比率
日本ケアサプライは会計上、高齢者生活支援事業の単一セグメントとなっています。
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2022年3月期通期の実績では
● 売上高:232億9700万円(2021年3月期と比べて10.8%増)
● 営業利益:23億2700万円(2021年3月期と比べて10.9%減)
● 売上高営業利益率:10.0%
● 純利益:16億7500万円(2021年3月期と比べて3.3%減)
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調べた限り売上高営業利益率が10.0%というのは、
事業者向けに高齢者生活関連製品を販売・レンタルなどする企業の中では高めのようです
ちなみに各企業の売上高営業利益率は以下の通りです
【7840】フランスベッドホールディングス:7.2%
【9729】トーカイ:6.7%
【7817】パラマウントベッドホールディングス:13.7%
【6099】エラン:8.8%
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今回の決算の注目ポイント
2022年3月期4Q の決算資料の中で
● 2022年3月期通期が2021年3月期通期と比べて減益となったのは、将来の利益拡大のために、レンタル用の福祉用具の購入、営業拠点の増設や移転、人員の増加など先行投資を行ったため
● 2023年3月期~2026年3月期までの中期経営計画を策定、2026年3月期通期で売上高300億円、純利益20億円を目標とする
● 中長期的な事業構想として、創業からのコアビジネスである福祉用具レンタル卸に加えて、グリーンケアオンラインショップ、食事サービス、SOIN、おむピタなどの事業を収益の柱へと成長させる
● 2023年3月期通期で売上高255億円(2021年度と比べて9.5%増)、営業利益23億円(2021年度と比べて1.2%減)、純利益16億円(2021年度と比べて4.5%減)の増収減益を見込んでいる
以上のように述べられていました。
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また、前回の2023年2月期1Qの決算結果から、今回私は以下のことに注目しています。
● 将来新たな収益の柱へと成長させようとしている高齢者生活支援サービスは順調に売上高を伸ばしていけるか?(売上高の規模からしばらくは福祉用具サービスを上回るペースを期待したい)
● 団塊の世代が後期高齢者となる2025年までにどれだけ営業拠点を整備できるのか?
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このことを踏まえて決算資料を見ていきましょ~♪
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まずは業績です♪
● 売上高:126億7900万円(対前年同期比11.8%増、通期進捗率49.7%)
● 営業利益:9億6300万円(対前年同期比19.7%減、通期進捗率41.9%)
● 売上高営業利益率:7.6%
● 純利益:6億5000万円(対前年同期比21.1%減、通期進捗率40.6%)
前期から引き続き通期計画と同様に増収・減益となっていますね
ただし、減益の程度が大きくなっているので原因には要注目です
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続いてサービスごとの売上を見てみましょう
日本ケアサプライは会計上、高齢者生活支援事業の単一事業ですが、資料の中でサービス区分別に売上高を発表しています。
● 福祉用具サービス:売上高111億1600万円(対前年同期比10.9%増、売上高全体の87.7%)
● 高齢者生活支援サービス:売上高15億6400万円(対前年同期比18.7%増、売上高全体の12.3%)
それぞれがどのようなサービスから構成されているのか、明示されてはいません。
しかし、過去の資料を見るとグリーンケアオンラインショップ、食事サービス、SOINなどは高齢者生活支援サービスに含まているようです。
つまり中長期的な事業構想で新たな収益の柱として成長させようとしているのが高齢者生活支援サービスと言えそうですね♪
前期に引き続き高齢者生活支援サービスは福祉用具サービスを上回る売上高の伸びでした♪
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最後に先行投資の状況を見てみましょう
私が注目したのは決算短信で発表された貸借対照表の中の
● 資産の部・固定資産における「レンタル資産」
の増額です。
おそらくレンタル用の福祉用具を示していると思われますが、2022年3月期4Qに総額105億円、2023年3月期1Q(前期)に総額110億円だったレンタル資産を今期は総額114億円に増やしています。
この他にも決算短信の中では都市部を中心とした新規営業拠点の開設、倉庫大型化とそれに伴う既存営業拠点の移転、社員の増員と先行投資を継続すると述べられています。
しっかりと先行投資を行った結果の減益のようですね♪
75歳以上の後期高齢者になると要介護認定を受けて介護用品を必要とする方の割合が急増すると言われていますし、今後は都市部で急激な後期高齢者人口の増加が見込まれているので需要を見越した先行投資が出来ていますね♪
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今後の決算の注目ポイント
私は今後の決算では以下のことに注目しています♪
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● 将来新たな収益の柱へと成長させようとしている高齢者生活支援サービスは順調に売上高を伸ばしていけるか?(売上高の規模からしばらくは福祉用具サービスを上回るペースを期待したい)
● 団塊の世代が後期高齢者となる2025年までにどれだけ営業拠点を整備できるのか?
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これらのことに注目しながら日本ケアサプライの決算を追っていきます。
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まとめ
日本ケアサプライの2023年3月期2Qの決算について分析致しました
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● 2023年3月期通期では2022年3月期通期と比べて増収減益と予想した通り、2023年3月期2Q時点では対前年同期比で増収減益
● レンタル用の福祉用具の購入、都市部を中心とした新規営業拠点の開設、倉庫大型化とそれに伴う既存営業拠点の移転、社員の増員など、今後の需要を見越した先行投資を継続している
● 中長期的な事業構想として新たな収益の柱へと成長させようとしている高齢者生活支援サービスの売上高は順調に増加している
● 今後は団塊の世代が後期高齢者となる2025年までのどれだけ営業拠点を整備できるのかに注目
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今後も日本ケアサプライの成長から目が離せません♪
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ありがとうございました!!
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